伊波の雑記

気が向いたら。

ランス・アンド・マスクスについて考察

 2013年12月に1巻が発売、2015年10月からアニメが放映された、Lance N’ Masques。現代に続く騎士の集団、現世騎士団に所属する花房葉太郎と、それを取り巻く騒動を描いた本作品。人気はないものの個人的には好きなので、こうして記事にしてみる。

 

・原作小説とアニメの差分

 アニメは原作4巻までを12話に収める形で完結。基本的にキリのいいとこまで進めるにあたり、スムーズに進めて5巻、濃く描写してくと2巻というとこなので、配分についてはまあ普通である。(2巻以降終われないゼロの書なんかは、12話で1巻分だったりする)

配分としては

  • 1巻-1~3話
  • 2巻-4~5話 (6話の温泉回はアニオリ)
  • 3巻-7~10話
  • 4巻-11~12話

 

 と、こんな具合。……見てわかる通り、3巻の部分が一番長いが282ページであり、1.2.4巻はこれよりも長いのだ。不要なものとして削られてる部分を除くと、ほぼ全部を描写しているのだ。つまりキリよく終わらせるため、2と4巻は物語自体を削るようにして、詰められていたりする。

 1巻については芯の部分を抜き出して、何も進んでいない日常パートだけを捨ててるのでまあヨシ。

 2巻では学校の描写と、冴の妹の柚子の存在が抹消されており、4巻ではウアジェ襲撃を除く現世騎士団関連のほぼ全ての件、鏑木錦とシャーリー・モイ。花房森との対決も変わっている。

 アニメ向けに変更が加わった細かな部分を除けばこんなところ。12話に収めるには長すぎる部分ゆえ、葉太郎の成長を軸にするなら妥当ではある。

 森との対決はリチャードが介入せず、そのまま押し込んで綺麗に畳むように。騎士の学園にも総出で行かずに、真緒と二人だけにもなっている。2期はない前提である。

 ちなみに錦は6話でちょろっと出ていたりする。

 

・キャラの強さ順

 基本的には騎士はランク準拠、葉太郎は例外。

 依子さんも大妃に勝っているため、智騎士相当はある。

 アレックスは現役を退いた上で、ナイトランサーに王覇の槍を持ってして負けてるので、よくて座騎士レベルかなとは思う。

 ダークランサーは戦いが全部、人質と死にかけがあって比較しにくいので、多分力騎士くらいかと。

騎士ランク

  • 第一位 熾騎士:花房森>リチャード・ウルフスタン=アンナマリア・ルストラ>アレックス・バルバロッサ/ (李秀宗) 
  • 第二位 智騎士:ウアジェ・ラジャ=孫大妃=レイナ・モス/ (譚道人)
  • 第三位 座騎士:(朱藤依子)≧金剛寺
  • 第四位 主騎士:フリーダ・バルバロッサ=ネクべ・ラジャ
  • 第五位 力騎士:多爾袞=李吉夏=フランソワ・ミン/ (ダークランサー)
  • 第六位 能騎士:ハナ/  (何玉鳳)
  • 第七位 権騎士:シルビア・マーロウ
  • 第八位 大騎士:鏑木錦=シャーリー・モイ
  • 第九位 騎士:開始時の葉太郎
  • ランク外 従騎士:アリス・クリーヴランド

 

 騎士でない、騎士だったキャラは同等ランクの()内に記載。

 葉太郎については聖槍を借りて鎧に勝ち、金剛の槍で多爾袞と引き分け(大騎士昇格)、ウアジェに惨敗、銀火の槍と試作槍でアレックスに競り勝つ。辛勝はアリスをダシにされたダークランサー戦、槍がなかった三仮面戦、メンタルをボロカスにされた李吉夏戦。

 戦いの物語的にジャイアントキリングは醍醐味だし、快勝だけじゃないのも緊張を生んでる。けど騎士の物語で、だいたいが他の弱い仲間を狙うとか、卑怯な手段で攻めるのはどうかと思った。最後こそ槍の力頼りだったものの、全体的に成長してるのは見て取れる。4巻の森と戦った時は、槍を付き合わせることで精一杯だったものの、9巻での決戦時はそういった諸々問題ない様子なので、輝閃の槍は主にパワー面のブーストとして、葉太郎の性能は最終的に座騎士レベルはあると思う。

 推移としては、鎧との戦いでは聖槍+大騎士→多爾袞戦で既に力騎士レベル→森との激突などを経て、アレックス戦は主騎士レベル→ダークランサー戦で座騎士レベルと予想。

 ダークランサー戦で座騎士レベルと予想するのは、最初は余裕で対処出来ており、黒竜の槍の力を解放したところ少し苦戦、しかし針舞の槍で問題なく応戦できていると。ダークランサーの強さは主に黒竜の槍の性能と人質であり、同条件での力量差としてはかなり開いてるはずだから。

 普通の騎士じゃ、こうもパワーレベリングできないだろうけど、葉太郎は例外中の例外。姫がいる人造騎士であり、指導は前半で依子さんと後半は主騎士のフリーダ、かつ有象無象を除いて、基本的に格上としか戦ってなければ、そりゃあどんどん強くもなる。

 戦った相手を騎士に限定すると、鎧(座騎士)、依子さん(座騎士)、多爾袞(力騎士)、ウアジェ(智騎士)、森(熾騎士)、アレックス(元熾騎士)、三仮面(セカンドクラス並3人)、李吉夏(力騎士)、森(熾騎士)。

 なんだこれは……。茨の道どころじゃないが。サードクラスの騎士ランク、大騎士ランクに戦わせていい相手ではないが……。あと後半は、主に卑怯な手を使って戦力差を埋めてるあたり、やっぱり葉太郎はかなり強いはず。

 

・依子さんについて

 血の座騎士と呼ばれた強キャラな依子さん、キャラ設定には年齢不詳とあるものの、以下の要素からある程度は推察できたりする。

・作中時間の10年前から葉太郎のそばにいる

・来世騎士団との大戦が20年以上前にあった

・大戦時の依子さんのランクは第九位の騎士だった

・10年前に騎士を辞めている

 

 葉太郎は16歳で騎士ランクにあったことから、実力差を鑑みて依子さんは少し早めの11-13歳だったとしよう(何玉鳳は13歳で第六位ランク相当)。大戦を20年きっかり前とすると、31から33歳。つまり、大戦時の年齢と2〇年前の数字をいくつにするか次第ではあるが、恐らく31-39歳あたりと思われる。かつ20代で葉太郎を引き取り、騎士を辞めている。騎士ランクは滅多なことでは上がらず、上に行くほど上がりづらく、10年以上同じランクに留まることもあるという設定から、11-13は妥当なのでは。と、思ってました。しかし娘の百合子の存在を考慮すると、11-13も少し怪しくなってきます……。

 

 依子さん実は既婚者でした。伴侶は百合子出生から、1年持たず他界。百合子が病気で亡くなったのは10年前。

 ダークランサーが葉太郎と同年代設計だとすれば、16年前に百合子を産んでいることに。最小年齢の31歳だとすると、15歳時点の話。これは少し難しい話なので、19歳で百合子誕生、11+4歳とすると大戦時は15になるので、作中では35歳あたりという設定が硬そう。

 ダークランサーを葉太郎と同年代設計と仮定したのは、作中でダークランサーは捨てられたと言っており、葉太郎が依子さんに育てられたことも知っているため、騎士を辞めて葉太郎を引き取るタイミングと合わせて、捨てられた記憶を作ったのであれば、記憶を矛盾なく作れるかなって。

 転がってる材料からの推理はこれが限界。まあ大戦が20年以上前という表記のため、20年とは限らず、30年だとか40年だとも言えてしまうのが、ほんとに惜しい。なのでもうここまで考察しても、もう読者に委ねる部分でしたと。

 

・全体的にキャラの年齢が低いのと制限がある

 メインで行動するキャラの中で、葉太郎は16歳ではあるが、騎士道体質で行動と思考がロックされてるし、依子さんは30代でも、森との戦いに向けて葉太郎しごきしかしてない。アリスと何玉鳳は13歳、真緒とシエラは6歳、金剛寺ファミリーは言うほど進行役に噛んでないものの、11-17歳と低め。ダークランサーに至っては年齢関係なしに、自棄になってるだけ。

 良くも悪くも、年齢の低さ等をそのまま出してるせいで、騒動が「それで起こるの?」ってなる。ダークランサーのとこなんか、アリスさえいなきゃ普通に勝ってたでしょうと。それでも後半はスケールが来世との戦いって大きくなったんで、熾騎士組も出てきてマシにはなりました。

 

・主要キャラ紹介

花房葉太郎


伝説の騎士、花房森の息子であるサードクラスの騎士。しかしその実態は、ナイトブランク・セカンドとして、花房森の複製として作られた人造騎士だったりする。人造騎士なので産み親はいないが、森が来世の研究所を襲撃して拾った結果、父親になった。


騎士道体質という、女性のピンチに駆けつけ、助けるべく第六感とでも言うべき、探知用センサーが内蔵されている。日本では騎士団が承認されていないため、助ける際は仮面を付けて、ナイトランサーと名乗り、正体を隠す。


強さは最初こそ最下位の騎士ランクだが、真緒という姫を得たことにより、ブランクの身体は騎力を無尽蔵に纏い、ヒーローとして負けられないという意思、強敵と相見えることで成長。最終的には輝閃の槍を用いて、森に打ち勝つ。


年齢は16歳。

6歳の頃から依子さんと過ごすことに。

 

朱藤依子


元現世騎士団第三位「血の座騎士」の異名を持ち、葉太郎の味方の中では孫大妃と並んで格別の強さを誇る。

 

葉太郎の教育係として、騎士道体質を仕込んだのも、他ならぬ依子さんだが、葉太郎を除く騎士にはそんなもの備わっていないのに加え、ただ厳しい躾があっただけが原因になる訳もなく、必ずしも必要ではないため趣味なのだろう。


葉太郎への指導については、原因はほぼ騒いでるアリスのせいだが、従騎士という立場であることから庇ってしまうせいで、結局葉太郎が折檻を受ける羽目に。しかしそれにより、頑丈さは養成されているかもしれない。

 

花房森との戦いに備えての他、過去に葉太郎に言われた「僕 強くなるから!! 依子さんを守れるくらいに!!」こうした言葉から、愛情をもって厳しめに育てているのだろう。


森から葉太郎を引き取るにあたって、騎士を辞めてから10年経過しているものの、その強さは健在だったが、森の扱う聖槍に騎力を根こそぎ持っていかれ、5巻以降は前線で槍を振るうことはなくなった。


年齢は前述の通り恐らく35歳。

ローズランサーとして大妃と対峙した際は、葉太郎の裸を妄想できるレベルのため、恐らく作中で一番葉太郎大好きな人。

 

アリス・クリーヴランド


葉太郎の従騎士。クリーヴランド家のお嬢様であり、現世騎士団総長 リチャード・ウルフスタンの姪である。深窓の令嬢ではなく、アーサー王のような騎士になるため、シャーリーには伝えずに、家出してきた。結果6巻でいろいろこじれることに。


強さは作中で最弱。騎士ではない劉羽炎よりも弱い。葉太郎主体のため、味方の強化イベントなんて都合のいいものはなく、言っちゃあれだがマスコット、もといお荷物になっている。


13歳。


白姫


葉太郎の白馬。性能は高いと思われる。


3歳。

 

鬼道院真緒


親の鬼道院明から与えられた屋敷で、1人寂しくし過ごし、ヒーローを夢見て修行をしていた。その中で高所から落ちるところを、ナイトランサーに助けられ、それをヒーローとして慕うように。また正体を知らないものの、ヒーローを見習って行き場のない葉太郎を、屋敷に住まわせることに。


して、その正体は来世製の庚結真の複製、純正の人の子ではない。来世が複製に偽の記憶を植え付け、結真の婚約者の明に預けたが、亡くした者の複製にどうしていいかわからず、放置することとなっていた。


6歳。

最終巻の森との戦いまで、ナイトランサーの正体を知らなかった。アニメでは最終話(4巻時点)

 

何玉鳳


犯罪組織「幇」に暗殺技能などを教えこまれ、組織内ではきっての実力者だった。鎧による幇崩壊のあと、病気で亡くなった師父と同じ、強い日本人を探しており、羽炎の焚き付けが加わった結果、ナイトランサーを爸爸として慕うように。


強さは能騎士程度、年齢を考えれば破格。アリスと同レベルみたいな扱いだが、そんなことはなく、こちらの方が圧倒的に強い。珍しく終盤では李秀宗による強化あり。


蓬莱島以降、戦う際は仮面をつけて刀を振るい、シャドウセイバーと名乗る。また本来の自分とシャドウセイバーを分けて考えることで、いろいろ飲み込むようにしている。


ちなみに幇は来世騎士団の下部組織であり、刀を媒体としたテスト用人造騎士でもある。


ワケあり一家。

爸爸16歳、媽媽6歳、本人13歳。

 

シルビア・マーロウ


権騎士、金剛寺鎧が大好き。

シルバーランサー。


17歳。

 

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 こういう人気のない作品は、他の人の書き物が見られないんで寂しいけど、だからこそ自分で書いてみようじゃないかと。もうそろアニメにしても10年前の作品なんで、見つける人がいるかは微妙ですが、ひとつの書き物として見てもらえればなって。